
Japanese Association of Medical Villages
日本メディカルヴィレッジ学会
November 01, 2016
Column Vol.5 社会老年学
社会老年学、という学問分野をご存知でしょうか。シニアにかかわる問題を分析し、よりよい高齢社会をデザインする学問です。私は「終活」を研究テーマとしています。社会調査やインタビュー、また終活に関するセミナー、勉強会、ワークショップなどの企画も行いながら、シニアの方々の実態やニーズをとらえる取り組みを行っています。
高齢化、核家族化により、人々が老いや死について備えておく必要が出てきました。葬儀や墓、相続だけでなく、先祖の墓、延命治療、介護、物の整理、老後の資金、自分史などなど、考えることは多岐にわたります。そして、これからどのように生きたいのか? 終わりを一度考えた上で、見えてくる自らの希望もあります。
では、人生の終盤にどのような場所で、どのような時間をすごしたいか。終の棲家、などという言葉もあります。棲家にかぎらず、身体が弱った時、訪れることのできる療養の場所などもあるでしょう。核家族化など社会の変化により、そんな場所についても、わたしたちは気にかける、かけざるをえない時代となりました。
今の社会は大きな転換を迎えています。核家族化や地域社会の変化は、これまでとは違った形での人々のつながりを必要としています。そして人生の終わりを考えたとき、こころのケア、からだのケア、双方を重視するには、この「メディカルヴィレッジ構想」のような村、まちというものも、必要とされるひとつのかたち、新たなつながりの形ではないでしょうか。
高齢社会のありようを見つめつつ、学問の成果を積極的にアクションとし、「メディカルヴィレッジ構想」実現へと進んでいきたいと考えています。
理事 木村由香
October 31, 2016
Column Vol.4 偉大なるお節介
皆様はじめまして、ゆい訪問看護ステーションの田島と申します。
今回、コラム掲載の機会を与えて頂き光栄な反面、文章力の無さを痛感しております。
読みにくいと存じますが、宜しくお願い申し上げます。
訪問看護を始めるまでは、地域密着型の民間病院で15年強勤務してまいりました。
病院では、話を「聴く」時間を自ら取るよう意識はしていたのですがゆっくりと「聴く」ことができず「聞く」になっていたと思います。
訪問看護では、対話学が重要であり「聴く」ことが早期発見やより療養生活が充実できると考えています。「聴く」という字は、耳と目と心で五感を使って書きます。看護職では、五感を使って全身の状態の様子を観察するため、「聴く」をプラスして日々援助できることを考えながら仕事をしています。
時間に追われ、心にも余裕がなく「聴く」ことができないことを訪問看護をはじめ、がん哲学外来メディカルカフェで改めて実感しました。
樋野興夫先生の活動に全国の方々が感銘し、がんカフェも110ヶ所を超えようとしています。メディカルヴィレッジでもがんカフェでも、「空っぽの器」に色々なものが入ることで
其々が素晴らしい輝きを放ち集合体になった時は国家を揺るがす医療維新に繋がると想います。
病院こそ、外来こそ、医療従事者だからこそがん患者さんやご家族との対話を学び病気になった時の不安や心細さなど...解決はできなくとも解消ができるためより一層の絆や繋がりを強めることができ、繋がればつながるほど維新活動になっていくと考えます。
ゆい訪問看護ステーションは、「癒しと安心と人とのつながり」をモットーであり、所長の人脈の繋がりが群を抜いているのもあり私たちスタッフにも素晴らしい方々との出会いを与えて頂き樋野先生をはじめ学会理事の方々との出会いも素晴らしくよい繋がりもできました。
たくさんの出会いに感謝をしながら自分に何ができるかを探し挑戦し続け、人には優しく何かを与え続けられる人生を送りたいと考えています。
「偉大なるお節介症候群」を目指して日々邁進していきます^o^
October 04, 2016
Column Vol.3 二宮尊徳記念宇都宮がん哲学外来メディカルカフェ
二宮尊徳記念宇都宮がん哲学外来メディカルカフェ 代表の大野益通です。
この度、「日本メディカルヴィレッジ学会」の記念すべき第1回公開シンポジウムが、宇都宮市で行われ、大変光栄な思いでございます。
当日は想定以上の多くの参加者の皆様へ講演をお届けすることができました。
各関係者の皆様へは、深く感謝申し上げます。
「二宮尊徳記念 宇都宮がん哲学外来メディカルカフェ」は、樋野興夫先生に命名していただきました。
私は、日光市(旧今市地区)に生まれました。日光市は、二宮尊徳縁の地ということもあり、幼い頃から二宮尊徳先生の銅像を身近な存在として感じておりました。
「日光メディカルヴィレッジ構想」は、日光及び宇都宮市でのプロジェクトです。
日光東照宮や華厳滝など、観光資源に恵まれたメディカルヴィレッジのカタチを目指しております。
現在は「空の器」ではありますが、その中に1人1人の様々な提案、考え、思い、仕組みなどを、少しずつ入れていただき、訪れやすい、移住しやすい環境を構築していきます。
また、現在代表理事を務めている「NPO法人市民後見人センターとちぎ」の立場からも、常々感じることとして、
高齢者がいくつになっても、
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自分の仕事がある ②自律して暮らしていける ③終(つい)の住処がある
こんな寄り処が、あったらいいなと思います。どうぞよろしくお願い致します。
September 28, 2016
Column Vol.2 訪問看護ステーションならではの「がん哲学外来本郷通りカフェ」
皆さまこんにちは。企画担当の布川でございます。
9月12日に宇都宮にて開催されました、第1回メディカルヴィレッジ学会第1回シンポジウムは盛況に終えることができ、学会メンバーは大変安堵し嬉しく思っております。
学会の活動報告につきましては、こちらのページをご覧いただければと思います。
さて、私は今年の8月より文京区の本郷に「ゆい訪問看護ステーション」を開設いたしましたが、早2か月を経過いたしました。皆様のご協力あって、8月、9月はまずまずのスタートを切ることができ、大学病院・クリニック・居宅介護事業所・施設の方々との連携も少しずつ増えてきてきました。
メディカルタウンである御茶ノ水の隣に位置する本郷地区であり、順天堂大学をはじめ東京大学、東京医科歯科大学、日本医科大学の4大学に囲まれる形で位置している訪問看護ステーションです。また、8月の開所早々に「矢内原忠雄記念 本郷通りカフェ」としてがん哲学外来をスタート致しました。スタッフも明るく笑顔あふれ、本郷地区のみでなく遠方の方にもお越しいただける素敵なカフェとなっています。がん哲学外来理事長の樋野先生も、順天堂大学からの帰り道であり、カフェには毎回お越しいただき個人面談も行っています。訪問看護ステーションとしては初めてのがん哲学外来ということで、他にはない訪問看護ステーションらしい、がん哲学外来を目指したいと思います。
早速、本郷通りカフェスタッフにより「樋野先生相関図」が出来上がりました。
現代の新渡戸稲造である樋野先生。先生の尊敬する方々を分かりやすく掲載しています。
その他、疼痛コントロールなど医学的知識の向上はもちろん、栄養学についても学びながら、がん患者さんに食べやすく簡単にできるお食事をキッチンスタジオなどで実演するなど、楽しい企画をしていきたいと思います。
日々、新しいアイディアを取り込みながら仕事に取組み、明るく楽しく、チャウチャウ犬のような看護師を目指していきたいと思います。
日本メディカルヴィレッジ学会理事 企画担当 布川麻代
August 30, 2016
Column Vol.1 三国理事のコラム
【空の器に水を入れる】
9月12日に『日本 メディカル ヴィレッジ学会』第1回公開シンポジウムが開催されます。第1部に樋野先生の基調講演『メディカルヴィレッジの幕開け』を行い、第2部に、パネルディスカッションを行います。
テーマは『メディカルヴィレッジ構想』で、パネラーは、医師・看護師・ケアマネジャー・市民後見人です。最初にそれぞれの方の現在の活動内容をお聞きし、続けてメディカルヴィレッジでどんなことを実現したいか、どんなものがあったら良いか等をお話いただきます。
メディカルヴィレッジについて樋野興夫先生は「1人の人間を癒すには1つの村が必要である」そして「出来上がったものを用意するのではなく、空の器を用意して、そこに参加した人が水を入れていく」と言われています。パネルディスカッションではこの『空の器』にどんな水を入れていきたいかをパネラーと会場の皆さんと一緒に考えて具体的にしていきたいと思います。その際に皆さんから出た「こんなのあったら良いなぁ」と言う意見や提案を、大きな白紙のキャンパスに実際に書き込んでいこうと考えています。
ちなみに市民後見人の私が『空の器』に入れたいと思うものは、『職種の壁や敷居がなく何でも相談できる場所』です。個人的ではありますが、支援をしている際の私の悩みを、みんなで聞いてくれ、それぞれの職種の方にアドバイスをいただける、そんな場所です。
私が末期のがんのおひとりさまの後見人をさせていただいたときに、私自身がまいってしまいそうになることが、何度もありました。「この方に私は何ができるのだろうか」「本当にひとり暮らしの彼を自宅で看取ることができるのだろうか」「鬱があったと話していたが、専門家でない私がどのように関わっていけるのだろうか」と。私の悩みは、一人の専門家の方が解決や解消できることではありません。
例えば、彼が「本当はどうしたい」と考えているのかの希望をキャッチするためには臨床心理士やカウンセラー。亡くなった後の遺言執行や相続人との調整等は法律の専門家。遺された遺族のグリーフケアに宗教者。一人暮らしの彼を本当に在宅で看取れるのかは、実際におひとりさまの看取りを経験されたケアマネさん等。このように支援者の悩みを一緒に考えてくれる場があったらありがたいなぁと思います。私は支援をしている人を支援する場を『空の器』に入れたいと思います。そのことで支援される方も安心できると思います。みなさんなら『空の器』に何を入れたいですか? シンポジウムの会場でお聞かせいただけると嬉しいです。 三国浩晃